女ともだち(神々の眼差しシリーズ)
カナとミサコの同人ライフ

「・・・ダメだわっ!!書けないっっ!!!」
 今年、女子大生になったばかりの遠藤(えんどう) 可奈(かな)はそう叫ぶと、原稿用紙を握り締めたまま机の上に突っ伏した。
「一体、どうしたのよ?可奈。」
 唸り声を上げている可奈に向かってそう言うのは、高校時代からの親友である藤原(ふじわら) 美佐子(みさこ)であった。彼女も同じように原稿用紙を・・・。いや。こちらは何やら怪しげな絵を書いているようだった。
「ダメなのよ!!どうやったって腐女子好みの展開にならないのよ!!ああっ!!風間くんを主役に持ってくれば、楽勝だと思ったのに!!!あの男は、馬鹿みたいに強すぎるわ!!!」
「馬鹿ね。」
「何が、馬鹿よ。どの男が風間くんを押し倒せるっていうのよ。あいつの信じられない馬鹿力を知らない訳じゃないでしょう!?ああっ!!あんなに綺麗で色気たっぷりだってのに!!無駄よ無駄!!あいつは、全身から無駄を垂れ流しているっ!!!」
 風間(かざま) 零一朗(れいいちろう)。エライ言われようである。
「・・・ホント、馬鹿ね、可奈。ノンフィクションである必要がどこにあるのよ。」
 美佐子は意味有り気な眼差しを可奈に充てると、諭すように肩に手を当てた。
「ほえ?」
 可奈が訝しげに、顔を上げる。
「事実と違ったって、一体誰が怒るって言うのよ?風間君がコミケで同人誌を買うとでも?」
「・・・有り得ない。」
 可奈は目を輝かせた。
「そうよ!!有り得ないのよ、そんな事っ!!!」
 美佐子は握りこぶしを目の高さに持ち上げた。
「・・・バレないってコトね?」
 可奈の言葉に、美佐子はヤレヤレとでも言うように外人のように肩を竦めてみせた。
「本当に馬鹿ね、可奈。良い?知らないってコトは、何も起こっていないというコトと同じなのよ!!」
 何時に無い頼もしさで、美佐子が断言する。
「美佐子!!」
「可奈!!」
 二人はしっかりと、抱き合った。コレほどまでに二人の気持ちが通じ合ったコトは、かつて無かった。
「どんどんヤっても良い!?良いのよねっ!!」
「勿論よ。ガンガンヤっちまって!!!」
 一体。何をヤる気なのか。
 花の女子大生。御歳18歳の『箸が転んでも可笑しい年頃(←死語?)』の二人の少女たちは。
 中年女性も真っ青の、したたかな笑みを浮かべて、手を握り合った。


「やっぱり最初は順当なトコで櫻くんかしら。親友だと思っていたオトコが・・・。って、オーソドックス過ぎると思う?」
 可奈は可愛らしく小首を傾げながら、言った。
「良いんじゃないの?王道はヤッパリ一つは必要でしょう。」
「・・・よねえ!!じゃねえ。ねえ、こういうのは・・・?」


妄想@ 櫻 大吾×風間 零一朗編


「生ぬるいっ!!!」
 美佐子は断言した。
「えっ?でも・・・。」
 可奈がオロオロと原稿用紙を掴んで歩き回る。
「これじゃ、にゃむにゃむ(?)が普段書いているヌルイ濡れ場とゼンゼン変わらないじゃない。あんたアンケートにわざわざ答えてくれた方々(?)は今頃怒っているわよ。『やだーガッカリイ。ぜんぜん凄くないいっ。舐めてんのか、このアマ。』って。」
「・・・でも、最初だし、アンマリ飛ばしすぎるのも・・・。」可奈はイツに無く強気の友人に向かって、遠慮がちに反論する。
「とにかく、モット直接的は場面じゃなきゃオハナシにならないわ。指を入れるとか増やすとか。唇で挟んで舌先で転がすとか。親指の爪で先端をグリグリするとか・・・。」美佐子の鼻息は荒い。
「美佐子。あんたって凄い・・・。」
 可奈は瞬間。さすがに驚いたように、このドッカにイきかかっている友人を見詰めたが。彼女がそこまで決意しているのなら、覚悟が出来たというモノだ。
「美佐子。頼もしいわ・・・。」そう言うと、口元にニヒルな笑みを浮かべた。
「・・・ということで、二本目ゴーよ。」
 美佐子は高らかに宣言した。
「次は誰?」
「次はねえ・・・。」可奈は小さく笑った。

妄想A 小林 雄基×風間 零一朗(「宵闇を映す瞳」第5話より)

「触れたら、殺す。」低い声が小林の耳を打った。
「やめるんだ。」見下ろした零一朗の目が、本気だと言っていた。
「殺したければ、殺せ!俺は構わない。」
 小林が唸るように、叫んだ。
「小林。」
 零一朗が、唇を噛んで視線を逸らす。珍しいコトだった。
「風間。好きだ!!好きなんだっ!!どうしようも無いんだっ!!!」
 分っていた。零一朗が最近小林に寄せてくれる友情のような信頼のようなモノ。それとて得難い大切なモノだと分ってはいた。しかし、それでも。
「何を失ってもいい!!お前がこの手に入るなら・・・っ・・・!!」
 俺は西条と何も変わらない。小林は思った。
「小ばや・・・っ!!!」
 零一朗は覆い被さってくる小林を止めようとした。だが、その抵抗は普段に比べると信じられないホド弱い。イケる。小林は思った。
「・・・っ!!」
 身体の大きさにモノを言わせて、右手に零一朗の右肩を抱くように零一朗の身体を押さえつけると、白いシャツに手を掛けた。
「止せっ。」
 もがく身体に体重を掛けて押さえ込むと、身体を辿る左手はそのままに、拒絶の言葉を吐く唇に吸い付いた。
「んん・・・っ・・・!!」
 容赦なく舌を捻じ込みながら、零一朗の甘い吐息や口腔の感触を味わう。
「!!」
 シャツの襟元から忍び込んだ手が、零一朗の乳首に触れた。
 もう堪らなかった。
「・・・・っ!!!」
 シャツのボタンを弾き飛ばせながら、前を肌蹴ると。その胸元に小林は唇を這わす。
「・・・零一朗っ!!!」
 想いのたけを込めて、愛しいその名前を呼ぶ。だが、その時。
「・・・はい、ここまで。」
 熱のカケラも感じられない、冷静な声が小林の耳朶を打った。
「・・・ここまで?」
 小林は、零一朗の肌を探る手を思わず止めて、眉間に皺を寄せると顔を上げた。
 さっきの言葉は。
 たった今まで。
 自分の下で、熱い吐息を漏らしていた
ハズ(・・)の男が、言ったのか?
「・・・。」
 見下ろした零一朗は、小林が乱した服以外は、普段とマッタク変わらない様子で、小林を見上げていた。
「大サービスだ。」
 その顔がニヤリと笑う。
「!!!」
 小林は呆然と、その神の如き美貌を見詰めた。
 さっきまで、漏らしていた熱い喘ぎ声も。
 小林を拒み切れないような切なさが見えた、か弱い抵抗も。
 男を煽るような切なげな表情も。全て。
「サービス!?」
 だったのか?
「舌まで入れさせてやったんだ。充分だろう。」
 零一朗はそう言うと、今までの非力は何だったんだという馬鹿力で小林の腕を取ると、どっこいしょと腹筋だけで二人分の身体を持ち上げた。
「・・・!!!」
 アマリのことに、小林は言葉が出ない。
 怒りすら湧いてこなかった。ただ。
「・・・俺の息子をどうしてくれる・・・?」
 小さな声でそう言うと、哀れなホド
いきり(・・・)立った自らの分身に目を遣った。
「え・・・?うわっ!!お前のご子息は凄いな。こんなメに遭わされても萎えないのか。」
 零一朗がビックリしたかのように、目を見張っている。
「・・・。」
 それでも一応、
こんなメ(・・・・)に会わせたという自覚があるのか。小林は泣きたい思いで溜め息を漏らした。
 もう、この男とは当分ハナシをしたくない。さっさとトイレに行こう。彼が決意したその瞬間。
「!!!」
 ズボンの上からではあったが。零一朗がむんずと
それ(・・)を握り締めた。
「なっ・・・・・・!!!!れれれれれれれれ・・・・・・っ!!!」
 訳の分らない小林がうろたえて、思わず目の前にある零一朗の肩を掴む。だが零一朗は、無言でそれを扱き始めた。
「・・・あっ・・・!!」
 思わず声が漏れる。
「・・・いいから、任せろ。」零一朗はそう言うと、見た事もないほど男臭い表情でニヤリと笑った。
「れっ!!!!れれれれれれれっれれ・・・!!!」
 小林は、喚いた。だが、零一朗の長い形の良い指先は。信じられないほど繊細で器用な動きを見せる。思わず唇を噛んで、目を閉じる。
「・・・うっ・・・!!!」

 直に触れられている訳ではないというのに。布越しの刺激のもどかしさが、却って信じられないホドの快感を生み出す。それは、触れているのが零一朗だからなのか、それとも彼が上手いのかは分らない。
「・・・っ。」
 小林は喘ぎながら、目を開いた。目の前の零一朗は、小林を見詰めている。その。夢のような美貌。この上も無く神聖で淫らな漆黒の瞳が、真っ直ぐに小林の目を見詰めていた。
「ううっ・・・・・っ!!!」
 小林は呻いた。
 小林は確かに経験豊富とは言わない。だが、少なくとも零一朗よりはあるだろうと思っていた。その自信がガラガラと崩れ落ちる。手も無く小林は、零一朗の手管で容易く臨界点に追い詰められていく。
「・・・ああっ!!!」
 いくら何でも早すぎるだろう、と思う。男の面子にかけて、小林は必死で堪える。だが、その耳元で。
「・・・
()けよ。雄基。」
 小林の耳朶を噛む様に、零一朗の普段の百倍はセクシーな声が響いた。
「・・・っっっ!!!」
 持つ訳がない。
 小林は術も無く。呆気なく上り詰めた。


「じゃ。朝食出来ているから。シャワー浴びたら、来いよ。」
「・・・。」
 部屋の隅で壁に向かって、顔を伏せたまま俯いて正座している小林の様子に頓着することも無く、零一朗はその背に声を掛ける。
「・・・一体、何の真似だよ。」
 サスガに怒り狂っている小林の、地を這うような声が聞こえる。
「これも、サービスだっていうのかっ!!!」
 涙目の小林が、唾を飛ばしながら振り返る。零一朗を見る目は怒りに燃えている。
「・・・やり過ぎたか?」
 零一朗が少し怯んだように、微笑む。
「当たり前だっ!!!」
「でも気持ち良さそうだったじゃねえか。」

「そういう問題じゃ無ええっ!!!」

 小林は声も枯れよと、叫んだ。
 このっ。
 この。
 この。
 この男はっ!!!!
「サービスするつもりなら、ちゃんと
()れさせろよっ!!!ちくしょーっっっ!!」
 小林の顔は真っ赤だった。
「そんなに怒るなよ。別に早すぎるなんて、思ってないって。」
 零一朗がさらりと口にする。
「ぎゃーーーーーっ!!!!」
 小林は金切り声を上げると。手当たり次第に、触れるもの全てを零一朗に向かって投げつけた。
「うわっ!!!お、おい、よせって・・・!!」
「ちくしょーーーーっ!!!覚えてやがれ!!いつか必ず俺の下であんあん言わせてやるっ!!!」
「あっははは。分った分った。」
 零一朗は笑いながら、部屋の外に逃げ出した。



「・・・ストップ!!!!可奈ったら!!何か違うわよ!!」
 美佐子が叫んだ。
「へ・・・?」
 可奈がマヌケな声を上げる。
「これじゃ。ヤられているのは、コバヤシじゃん。」
「・・・あれ?」
 確かにその通りだ。可奈は首を捻った。
「何やってんのよ。風間くんを(・・・・・・)、押し倒すんでしょう!!」
「あれ?」
 何で、こんな展開に?可奈はもう一度首を捻った。
「きっとミスキャストよ。コバヤシじゃ、如何にもこういう展開になりそうだもの。」美佐子は渋い顔で呟いた。
「そ・・・そうよね!!じゃあ、やっぱりココは、ベッドテクニックでは誰にも負けないと豪語する葉一サマの出番よね!!」
「ええ、今度こそ、あの男にあんあん言わせてやるのよっ!!!」
「おーっ!!!」
 二人は握り拳を突き上げた。


妄想B 和賀 葉一&風間 零一朗(「女ともだち」第2話より)

「大丈夫か、風間?」
 葉一は、すっかり酔い潰れてしまった零一朗を抱えて、予め抑えてあった行き着けのホテルの部屋に入った。
「呑み過ぎだよ。」
 顔にマッタク出ていなかったために、葉一も零一朗がコレホド酔っているなどと、マッタク気付いていなかった。だが。
(美味しいことになった。)
 葉一は微かに笑った。もしかして、こういう展開もあるかもと抑えてあった豪華なスイートルームが役に立ちそうだ。
「水飲むか?」
 葉一は、キングサイズのベッドの上に零一朗を横たわらせて、そう訊いた。
「水だと、バカヤロ。酒持って来い・・・。」
 まだそんなコトを呟く、零一朗に思わず笑みが漏れる。
「呑みすぎだよ。もう無理だ。」
 葉一はそう言うと、零一朗の柔らかそうな黒髪に触れた。その絹糸のような手触りに、ウットリと指を絡ませる。
「風間。気持ち良いコトしようか?」
「・・・気持ち良いこと・・・?」
「ああ、お前は寝てれば良い。天国にいかせてやる。」
 葉一はそう言うと、零一朗のジーンズに手を掛けた。震える手で、ゆっくりとボタンを外していく。その時。
「フェラか。」
「!!」
 酔っているとバカリ思っていた零一朗の、思いの他しっかりした口調に、葉一は思わず顔を上げた。
「・・・。」
 零一朗はしっかりと目を開いて、葉一を見ていた。
「そんなに、上手いのか?」
「ああ。自信がある・・・。」
「ふうん。」
 零一朗は、色気のある笑みを、その形の良い唇に乗せた。どこか淫靡な微笑。
「・・・!!風間・・・っ!!!」
 葉一はホトンド反射的に、その赤い唇に吸い付いた。
「・・・っ!!!」
 甘い唇。
 そんなモノが存在するなどと、葉一は今の今まで知らなかった。
 何人ものオトコたちが、葉一にキスをして、うっとりと呟いたコトが本当だったのだと、実感した。
「零一朗・・・っ。」
 葉一はその名を呼びながら。零一朗の歯列を舌先で割る。
 零一朗の舌を探る葉一を、零一朗は拒もうとしなかった。寧ろ積極的に、口を開いて迎え入れた。
 舌を絡ませ、吸い上げる。
 もっと強く。もっと激しく。
 もっと奥にまで。
「・・・。」
 葉一は、零一朗との口付けに溺れた。

「!!!」
 ハッと気付くと。
 苦しいほど唇を貪られているの葉一の方だった。いつの間にか体勢も、反対になっていた。
「・・・っ!!!」
 至近距離で葉一の乱れるサマを見降ろしている零一朗の瞳には、酔いなどカケラも無い。
「!!!!」
 葉一はもがいた。両手を振り回して、零一朗の身体の下から逃れた。
「・・・風間っ!!手前、酔ってなんか無いなっ!!!」荒い息を上げながら、叫ぶ葉一に。
「・・・。」
 零一朗はニヤリと笑うと、舌先でペロリと濡れた唇を舐めた。
「!!!!」
 ズクンと。下半身を直撃するような仕草。そして。
「お前のテクニックって、こんなモノか。」嘲るように、呟いた。
「っ!!!!!」
 葉一のプライドはズタズタだった。
 何なんだ。このオトコはっ!!!
「抱いてやろうか。」零一朗は視線を下げると。例の掬い上げるような眼差しを葉一に充てた。
「・・・!!!」
 葉一は固まった。
「俺と寝たいんだろ?」
 マッタク分らないが。零一朗は確かに酔っているのだろう。そうでなければ、こんなコトを言うとは思えない。だが。
「・・・。」
 そんなコト。葉一はどうでも良かった。零一朗が欲しかった。その肌に触れたかった。
「・・・。」
 零一朗はその美貌に、小さな笑みを浮かべると。右手を顔の前に持ち上げて、その長い形の良い中指をネットリと舐め上げた。そして。葉一を微かに眇めた目で見た。
「指だけで、イかせてやる。」
「!!!!」
 葉一はそれだけで、イった。背筋を悪寒のようなモノが駆け上がった。
「零一朗!!!」
 葉一は零一朗にムシャ振りついた。例え殺されても良い。ココロの底から、そう思った。零一朗の熱い手が、シャツの裾から入り込み、葉一の肌を撫で上げる。
「・・・んん・・・。」
 それだけで快感に打ち震えた。零一朗にしがみつく腕に力を込める。だが、その瞬間。
「ぐーーーーっ。」
 抱きついた男からは、無常な声が聞こえた。
「か・・・風間・・・?」
 葉一は、呆然と零一朗の顔を覗きこんだ。
「ぐおーっ・・・!!」
 零一朗は爆睡していた。もう梃子でも起きそうに無い。
「・・・。」
 力が抜けた。ハッキリ言って、葉一には、何の力も残っていなかった。犯してやろうという気力は、既に根こそぎ奪われていた。
「お前って。ホント罪なオトコ・・・。」
 葉一はポツリと呟いた。目には涙が滲んでいた。


「何で、こうなるのよ。」
 美佐子が、頭を振りながらポツリと呟いた。
「・・・。」
 可奈は顔を覆った。
「和賀くんも、ヤられているじゃないの!!!」
「うーうーうー!!!恐るべし風間 零一朗。私はフィクションの世界まで、あの男にマインドコントロールされている!!」
 可奈が悲鳴のような甲高い声を漏らす。
「・・・分ったわ。なまじ、現実の人物を相手に選んだのが失敗よ。」
「・・・え?」
「今度は、謎のオトコAでチャレンジよっ!!!」
「そ・・・そうかっ!!新しい登場人物なら・・・!!」
「可奈!!ファイトよっ!!」
「おーっ!!!えいえいおーっ!!!」
 二人はもう一度、拳を高く突き上げた。

妄想C 勝又 翔×風間 零一朗編

「拉致監禁モノか・・・。悪くは無いわね。」
 美佐子は原稿用紙を見ながら、微笑んだ。
「でしょう?でしょうっ!!」
 可奈が、美佐子の周りをぴょこぴょこと跳ねる。
「でも、まだ何となく風間くんに対する遠慮が見えるわね。もっとガンガン苛めても良かったんじゃないの。」
「うー。遠慮というか・・・。何となく、やっぱりトモダチは使い難いわ・・・。」
「まあねえ。分るけど。良いわ、とりあえずコレに私が絵を付けるから。・・・今回の同人誌はコレでいきましょう。」
「あっ、そうだ!!ねっ。ね、ね、ね。良いこと考えちゃった。同人誌に風間君の写真を付けたらどうかしら。ウケルと思わない?美少年好きに。」
「可奈。それ良いっ!!ハナシが具体的に読めるしっ!!」
「ねーっ!!!」
 二人はにっこりと笑いあった。
「取り合えず。」
「取り合えず?」
「小説完成祝いに、ケーキでも買ってこよう!!」
「賛成いいいいいっ!!」
 二人はキャッキャッと笑いながら、原稿をとっ散らかしたまま、美佐子の部屋をアトにした。


「あら、美佐子。」
 二人が、ケーキだのジュースだのを買い込んで、美佐子の自宅に帰った時。
 台所から顔を出した、美佐子の母親が、二人に尋ねた。
「『ちんじゅさま』に、会わなかった?」
「え・・・?」
 二人はギクリと足を止める。
「か・・・風間くん・・・?」
「ええ。おばあちゃんに用があって来てらしたのよ。それで、お前に講義に使う本を貸してくれと頼まれていたっていうから、可奈ちゃんも来ていることだし、二階のお前の部屋で待ってもらっていたんだけど。」
「ええっ!?」
「部屋に通したのっ!!?」
 二人の脳裏を、放ったらかしにしてあった、同人誌の原稿が過ぎる。
「ええ。でも、ちょっとしたら降りてらして、あんたたちを捜すって、飛び出して行ったわよ。」
「・・・どんな、様子だった?」美佐子がゴクリと唾を飲み込みながら、訊いた。
「様子って、そうねえ。何か、原稿用紙のようなモノを持っていたような・・・。それに、顔がちょっと引き攣っていたような・・・。」
「・・・・!!!!」
「!!!」
 見られた。
 間違いない。
「可奈っ!!!」
「美佐子っ!!!」
 殺される。
 二人は蒼白な顔で、お互いを見詰め合った。
「に・・・。逃げよう。」可奈が小さな声で、言った。
「ど、どどどどこへ・・・?」
「どこだって良いわ!!ほとぼり(・・・・)が冷めるまで、姿を隠すのよ!!」
「そっ・・・そうねっ!!!」
 二人はバタバタと玄関に向かった。
「母さん。アタシたち、暫らく旅に出るから。」
「旅?」
 美佐子の母親が、目を丸くする。
「あの男が帰ってきたら、そう行っておいて!!!」
 二人はそう言い捨てると、あっという間に。外に飛び出していった。
「・・・?あらまあ・・・。」
 母親は呆然と、二人を見送った。


 頑張れ、可奈と美佐子。
 同人誌発行への道は、辛く険しい。

−fin−

2004.04.18
2004.04.24
2004.05.04
2004.05.12

 一生懸命頑張ったのですが(笑)。期待はずれだったかもしれません、ごめんなさい(笑)。アンケートにご協力いただきまして、有難うございました。数の関係から、今回はヤッパリ親しい友人シリーズになりました。小林希望の方が思ったより多かったのが、何となく嬉しかったです。何が何でもと、和賀を押して下さった方も有難うございました。こんなコトになりましたが(笑)。もし第2弾第3弾と続けるコトになれば、今回のアンケートをまた活用させて頂きます。

 途中で、定期的に襲われる小説書きたくない病にに掛かり、カナリ難航してしましました。完成が遅れて、本当に申し訳ありませんでした。少し公開期間を延ばしますね(笑)。

 みつき様。これからは、美佐子の親友と呼ばせて下さいませ(笑)。